そして彼らは当初の目的通り情報を把握すると、その後、お得意の砲艦外交を行なって、有無を言わさず東洋の島国を開国させてしまった(軍事的威圧を背景に して小国を動かす砲艦外交は、ほとんどアメリカの国是といっていい)。

それから約90年後、日本を占領した米軍は、日本全土の地表をくま なく撮影して膨大な航空機写真をとった。これも、重要な軍事情報だ。彼らが発明した「戦略的爆撃」と称する、非武装市民の効率的な殺戮のためには、どんな 平凡な飛行機乗りでも、あるアベレージの攻撃能力をもたせなければならない(ここら辺の発想がいかにもアメリカ的なのだが)。そのためには、正確な写真と いう情報の集積と分析が必要だったのだ。

ところで、話は突然かわって日本企業のことになる。日本のビジネスマンは地球の果てまで、ありと あらゆる国々で商売を広げてきた、栄光の歴史を誇っている。それで、その結果得られた膨大な海外情報というのは、どこにどう集積されているのだろう? そ れは私たち国民の共有財産となっているのだろうか。せめて、各企業内では、それなりに共有され分析し尽くされているのだろうか。

おそら く、そうではあるまい。これは推測だが、日本の企業は、情報の伝達には巧みでも、情報の蓄積分析は各人の名人芸まかせ、というところがあまりに多い。言い かえるならば、フローの情報はうまくさばいても、ストックの情報は大切にしない。